退職金制度の課題

6月22日水曜日
【第2回定例会】最終日の本会議。各委員会に付託された議案の採決が行われ、すべての議案が可決しました。

 区長の退職金の廃止に対して賛成意見を述べました。以下、発言原稿を掲載します。

議案第37号への意見
2011年6月16日
社会民主党世田谷区議団

 只今上程となりました議案第37号「世田谷区長の退職手当の特例に関する条例」について、社会民主党として賛成の立場から意見を申し上げます。

 本件は、現行条例である世田谷区長等の給料等に関する条例第4条第1項及び世田谷区長等の退職手当に関する条例第2条の規定に関わらず、条例施行日において世田谷区長の職にある者について、すなわち保坂区長に限っては退職手当を支給しないことを規定する内容です

 保坂区長に限っての内容であること、また、区長自らが区民に公約した内容であることから我党は本案に反対するものではありません。しかし、賛成するに当たりいくつか指摘しておかなければならないことがあります。

退職金制度とは何か
 そもそも一般に退職金制度とは、賃金の後払い的性格や在職中の事業への功労・貢献等に対する功労報償的性格、さらには退職後の生活保障的性格が内包していると解されています。しかも今の退職制度は、これらの性質が混在しているものと考えることができます。

過去の判例では、退職金を支給の有無や支払基準等が労働協約、就業規則、労使慣行などで定められていれば、「労働の対償」として労基法上の賃金として位置付けられてきました。区長の、給料や退職手当等の規定は条例によって定められており、退職手当が賃金の一部として解されることに何ら問題のないことと思います。
 
地方公務員の場合は、勤続期間が長くなるに伴って退職手当が増加する仕組みになっていることから、勤続報償説、すなわち長期勤続の功労・功績に対する報償という見方がされています。

一般職員については、勤続30数年で2千数百万円退職手当が支給されますが、区長の場合は、勤続年数が4年間という短期間で2400万円の退職金が支給されるということから、高額過ぎるという見方がされるのも当然のこととでしょう。
 
しかし、区長や特別職等が短期間であっても高額とされる退職金が支給されている背景やその合理性はなかったのでしょうか。区長の退職金は、昭和33年に100分の600で条例が制定され、その後昭和59年に一割を減じて100分の540となり、現在の数字にいたっています。この間、毎月の給料総額は減額となっており、23区内で比較しても退職手当の額は決して上位にあるわけではありません。

 4年間という短期間ですが、日々の区長の職責や職務内容、さらには区政への功労や貢献度を見た時に、それを一概に高いと言えるのでしょうか。この度の第2回定例会では、賛否両論あるものの、区長自らが幾度となく答弁に立ちました。おそらく、夜寝る時間を削って準備をされていたと思います。これは私たち議員が、質問等を準備するために深夜や朝方に仕事するのと同様です。

 ある労働や仕事が社会的にどれだけの価値があるのか、一つの仕事を遂行するために、どれだけの能力を発揮し、どれだけの時間が必要なのか。この内容が十分に伝わらなければ給料や退職金の支給額だけが問題となり、「高額過ぎる」という判断が出てくるのだと思うのです。 

 弁護士や医者、パイロット、職人などの報酬・賃金が高額であることを問題にする人はあまりいません。それは、弁護士や医師、パイロット、職人などがその仕事に就くために高度な知識や能力を蓄積しなければならないこと、そして職務を遂行するためにはその能力を常に維持し発展させる必要があるからです。これは、実は働いている人すべてに共通している内容です。
 
区長や特別職、そして議員や公務員などの賃金・給料・報酬などが問題視されています。この背景にはいくつかの課題があります。

一つは退職金制度そのものの現状です。そもそも国家公務員や地方公務員は法律によって、退職手当に関する規定がなされていますが、民間企業における退職金は、必ずしも制度化されておらず任意の制度となっています。

もう一つは退職金を含めた格差の広がりです。この間、給料やボーナスカットが続き、退職金も目減りしています。民間企業を含めた働く人々全体の収入と生活の底上げが得られない現状にあることです。

退職金は近年、月例賃金への繰り入れや総年収定立形方式などの導入、早期退職優遇制度の下での退職金割増制度の活用も見られるようになってきましたが、民間企業における制度化や格差是正の取り組みは同時に強めていかなければならない課題と思います。
 
区長の退職金廃止は極めて区民からもわかりやすい方法です。しかし、賃金や報酬、退職金などがどのような過程の下で決定されてきたのか。また、現在の制度は社会的にどのような位置・水準にあるのかなど、多面的に考察することなく判断することは避けるべきと考えます。この点は、今後引き継ぐべき課題であると考えます。
以上で、議案第37号を賛成するに当たっての、意見とします。

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